今、なぜ「デザイン経営」ということが注目され、必要と言われているのでしょうか?
これは2018年に経済産業省と特許庁の研究会から提言されました。「デザイン経営」というのは、ブランドの価値とイノベーションの両方をデザインの力で押し上げるというもので、企業の競争力を高めるためには、この「デザイン経営」が必要不可欠だ。というメッセージを発しました。
「第4次産業革命」と言われているなか、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン。いわゆる「GAFA」が世界を席巻しています。そうなると、一層「デザインの価値化」という取り組みが、あらゆる産業で顕在化してきています。
普通に「デザイン」と言ったときに、単にモノの意匠や、色、模様じゃなくて、経営の高いレベルで、ユーザー目線が入っているかということがポイントになります。それが「デザイン経営」であると、経産省や特許庁がメッセージを出している訳です。
県内企業の皆さまのご相談をお受けしていると、「我が社にはこんな優れた加工技術があるから、製品の意匠を見栄え良くしたら売れるだろうか?」とか、「これまでの営業経験を踏まえ、デザイナーを使って商品を作った。」というように、とりあえず作ってしまうことがよく見受けられます。まさに作り手発想の極みといえます。ですから、商品開発のリスクを押さえるためには、その開発プロセスを認識すること。まさに「デザイン経営」という視点が重要になってきます。
「デザイン経営」とは、観察力から、柔軟な発想力、仮説提案力、造形力、伝達力まで全ての能力を一気通貫してブレないように取り組んでいくものだと考えます。
従来、消費者の購買行動を、「①知る(Attention)→②興味を持つ(Interest)→③欲しいと感じる(Desire)→④記憶する(Memory)→⑤購入する(Action)」というプロセスを踏むのがセオリーと言われてきました。(AIDMAという)でも、今ではみんながスマホを持つようになってきて、購買行動が激変してきている訳ですよ。つまり、「①知る(Attention)→②興味を持つ(Interest)までは同じですが、ここからが違ってくる。③調べる(Search)→④購入する(Action)→⑤シェアする(Share)」という変化なんです。ググッて、気に入ったモノを見つけて購入。それをSNSでシェアする。(AISASという)。だからこそ、購買を喚起させるためには、この変化を念頭においてデザイン戦略、商品開発を織り込んでいくことがキモだと考えます。
徹底した観察→問題発見→柔軟な発想→試作による仮説の検証→ターゲットユーザーにブランド価値を伝える→ファンの獲得・拡大。という開発プロセスを踏まえて臨んでほしいと願っています。よろず支援拠点にご相談いただく際にも、発想の起点には必ず使う「人」がいる、このポイントを経営者が理解して実践していただくようご支援しています。