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端数価格は意味があるか

チーフコーディネーター 酒井恒了

298円、1980円など、ピッタリの金額から少しだけ値引きする端数価格は今や価格帯が低額か高額かに関わらず、広く活用されている。ネギ1束198円もあるし、高気密工断熱の家2980万円から、みたいなものもある。因みにアメリカでは8ではなく、9を使うことが多い。99セントとか1.99ドルとかである。この端数価格は60年ぐらい前にはアメリカで既に普及していたようで、トイザらスなどを視察した当時の日本の大企業経営者たちが真似をしたことがきっかけであると言われている。日本人は末広がりの8を好むので8を使ったところ、それが広がったらしい。

これを使っていないのは百均ぐらいではないかと思うのだが、最近、ある企業が端数価格を廃止し、50円、100円単位になるように1円の値上げを行う、というニュースを覚えているだろうか。福井にも何店舗もあるファミリーレストランのサイゼリヤである。ミラノ風ドリア299円を300円にするというような価格改定である。

狙いはコロナウイルス対応で、会計時に小銭のやり取りを可能な限り減らしたいということにあったようだ。これは実際に効果があり、釣り銭で使用する硬貨が6割ほど減ったそうだ。会計にかかる時間も3割ぐらい短くなったらしい。キリの良い金額になるので、個別会計にしなくてもテーブルやグループでまとめてくれることが多くなり、個別会計は25%少なくなったそうだ。

もっと面白いことは、700円台だった客単価が1000円に近づいているというのだ。1円値上げということに目が行くが、この施策は50円単位でキリのいい価格にすることが狙いなので、例えば169円だったライスは150円に値下げしているから、単純に値上げしたから客単価が上がったということではない。Twitterでサイゼリヤのメニューでどんな組み合わせにすると1000円ぴったりになるかを提示してくれる「1000円ガチャ」なるサイトが紹介されたことも大きかったようだ。

半世紀近く日本に根付いた端数価格だが、見直してみると意外な効果が出るかもしれない。 常識にとらわれない経営の姿勢は見習うべきところが多い。

https://news.yahoo.co.jp/articles/d54921c2c7e8d47b42c364d7e6cb68bb83ba6fa9

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